
42.F様ファミリーのおはなし




土地探しとプランニング、資金計画は全て同時進行でした。これらは仕事柄、毎日やっている事なので特に不安は無かったのですが、あったとすれば経済の浮き沈みによる金利変動のリスクですかね。また、家づくりは通常、住む人数を最初に設定して、それに合わせてプランニングを進めますが、私たちの場合はその人数が定まりませんでした。最終的には夫婦2人になるかもしれませんが、場合によっては両親を含めて最大7人になる可能性も。その上、自分の知識と経験を目一杯詰め込みたくなったり、夫婦で求めるものが違っていたり・・・。どうやったら上手くまとまるのか?と、その着地点を見つけるのが難しかったですね。設計の当初は複雑な構造を考えていましたが、それでは後々2世帯に対応できるだけの可変性が無くなると思い直し、初心に帰ってなるべくシンプルに。
それからもう一つ、これから家づくりを考えている人達の手助けにもなるような、誰にでも取り入れやすい汎用性のある間取りにしたいとも考えていました。今にして思えば、妻の立場から考えると、夫が建築のプロという家づくりは結構大変だったんじゃないかと思います。なんだかんだ言って好き勝手にやられる可能性がありますしね(笑)。

総2階の正方形にこだわることでコストを抑え、どんな土地・方角にも家を回転させれば対応できる柔軟な形を意識しました。特徴的なのは2階に持ってきた水回りですね。洗濯物を洗う・干す・仕舞うまでの一連の流れを2階にまとめようと最初から決めていました。というのも1階に広々としたLDK空間を叶える為です。狭く感じさせない工夫としては、1階も2階もぐるぐる回れて行き止まりのないシームレス動線を採用したところ。
さらに、1階と2階の一体感を感じられるように、視界を遮らないアイアンバーの手すりを採用した吹き抜けを設けたり。そして最も重視したのは、将来的な家族の変化に対応できるだけの間取りの可変性です。1階のパントリーを、あえてシャワーユニットの規格サイズで造ることで、将来的にお風呂に造り変えることを可能にしたり。また、吹き抜けに床を張って簡単な間仕切りを設ければ、2階にもう1部屋増設する事もできます。
そうして、一つ一つに意図をもって造ることで、増築なしで2人~7人までがいつでも一緒に暮らせる家を実現する事ができました。

私にとって自分の家を造る事は長年の希望でしたので、今それが叶って一段落ですね。選択肢がたくさんある中での家づくりは本当に楽しいもので、それが終わってしまうのは少し寂しい気もしますが、新しい生活を想像すると楽しみな部分も大きいです。


